お風呂に毎日入っているけど、ユニットバスの使用期限や、交換した方が良い症状などが分からない方もいると思います。
そこで今回は、交換時期の目安や注意して見ておく症状について記事を書きました。
ユニットバスのリフォームを検討している方の、参考になれば幸いです。
目次
ユニットバスの耐用年数は?
ユニットバスの耐用年数は一般的に15~20年と言われています。
ですがメーカーカタログなどに記載されることはないため、明確に定められているわけではありません。
実際には使用環境によって異ってくるため、日々の掃除やメンテナンス次第でより長く使うことも可能でしょう。
リフォーム会社による調査では、工事するユニットバスの殆どが設置から20~30年経過していたという報告があります。
その中で、交換必須と判断したケースは1%にも満たなかったということでした。
つまり多くのユニットバスは漏水などのトラブルを起こすこともなく、耐用年数と考えられている15~20年よりも長く使用されているのが現状です。
しかし、長く使うほど劣化して漏水等のリスクも高まってくるため、耐用年数は交換の目安として考えると良いでしょう。
・浴室内のカビが目立つ
・サビが浮いている
・においが取れない
といった場合も、劣化が進んでいる可能性が高いと考えられます。
上記のような症状があり「15~20年ほど何もケアをしていない」という場合は、交換の時期に来ていると言えるでしょう。
ユニットバスの交換時期・目安・症状のポイント
今お使いのユニットバスで次のような症状が出たら、交換時期に来ているかもしれません。
1.浴槽のひび、割れ
ユニットバスの浴槽に最も使われている素材は、FRP(繊維強化プラスチック)です。
FRPは耐久性には優れますが、フタが当たったりシャワーヘッドや洗面器などを落とした時に、キズや割れに繋がってしまうことがあります。
転んで体の一部が当たったことによる衝撃で、浴槽が割れてしまうことも。
またFRPなどの樹脂は、お湯を張ると膨張し、お湯を抜くと元に戻るという性質があります。
膨張を繰り返すことで樹脂が劣化し、浴槽にクモの巣状の細い亀裂(ヘアークラック)が入ることもあります。
穴やヘアークラックなどの亀裂は、FRPシートを貼りポリエステル樹脂を含浸させ、塗装をすることで新品同様にすることもできるでしょう。
しかし15年近く使用した場合で、細かい亀裂が見られる場合は、浴槽以外の不具合も発生しているおそれがあるので、ユニットバスの交換をオススメします。
2.壁の剥がれ、亀裂
ユニットバスの壁に亀裂や剥がれあると、壁の内部に水が侵入して柱や家の腐食に繋がります。
壁に小さな亀裂や穴があるだけのように見えても、ユニットバスの裏側ではサビやカビが発生していることも!
そのためユニットバスの壁に穴や亀裂がある場合には、早めの修理または交換が必要です。
表面が剥がれた場合は、剥がれた部分と周りをパテを塗って平にし、補修用の浴槽用シートを貼って修理します。
しかし損傷の範囲や程度が大きく、修理が難しい場合は、パネル自体の交換をしなければなりません。
パネル自体の交換は10~20万円ほどで、期間が1~3日です。
しかし15年近く使用している場合は使用限度と考え、ユニットバス自体の交換も検討しましょう。
3.床の傷、ひび割れ
浴室の床は、椅子を引きずる、物を落とす、などで破損させてしまうことが多い部分ですね。
床面の小さな傷やひび割れの場合は、浴室床シートという製品を貼り付けるだけで、お風呂を壊さずに防滑性・水はけ性に優れた快適な浴室に床に生まれ変わります。
床シートの金額は4〜8万円程度、工期は1日です。
床が完全に割れてしまった場合は、床に使われているFRP(繊維強化プラスチック)を剥がして新品に張り替えます。
割れてしまった場合は、家の内部に水が浸透して木材や鉄が腐る可能性があるので、すぐに対応しましょう。床のFRP補修と床の塗装で12~20万円ほど掛かり、工期は2~3日です。
ユニットバスの使用年数が少ない場合は、床シート貼り付けやFRP補修&塗装修理でも良いでしょう。
しかし15年近く使用している場合は、使用限度と考え、ユニットバス自体の交換を検討した方が良いでしょう。
4.コーキングの割れ、カビの付着
ユニットバスの寿命は、コーキングの状態で判断できます。
コーキングは、壁や浴槽のつなぎ部分の隙間を埋めるために使用するものです。
ここがひび割れを起こしてしまうと、家の内部に水が浸透してしまうことに!
特に注意したいのは、コーキング部分に黒カビが発生している場合です。
黒カビは、先にお風呂に発生した赤カビの代謝物に加え、皮脂・石鹸カスを栄養にして繁殖を開始します。
繁殖した黒カビは胃液のようなもので素材を溶かしながら、菌糸を伸ばして黒い色素で自身を黒くします。
素材を溶かしながら浸食していくため、コーキングの劣化に繋がり、水漏れを発生する原因になってしまうんですね。
木造住宅の場合では、浴室からの水漏れがあるとカビの発生や木の腐食原因になるでしょう。
その結果、湿気を好むシロアリがやってきて、木を食い荒らすなどの悪さをします。
コンクリート構造の場合は、水漏れしたところがカビの温床となることに。
コーキングの黒カビや臭いが気になり始めたら、ユニットバスの入れ替え時期です。
いくら掃除をしてもお風呂のカビが酷い場合は、水漏れによる腐食が生じている可能性も考えて、交換を検討してみましょう。
5.サビの発生
壁のつなぎ目や浴槽のエプロンと呼ばれるパーツから、赤サビが見られる状態も、かなり劣化が進んでいるサインの一つです。
今のユニットバスでは壁に金属が使われている事は少ないですが、10年以上前のユニットバスではよく使われていました。
壁の中に金属が使われているユニットバスでは、長年の使用でコーキングが剥がれてしまうと、水が侵入してサビを発生させ、内部から壁を押し膨らませます。
またユニットバスに赤サビが見られるということは、家の中まで水漏れが発生していて、腐食していることも考えられます。
根本的に解決するには、ユニットバス一式を交換するのが理想ですが、それでは費用が掛かりすぎてしまいますよね。
サビている部分が少ない時は、サビを落とし、サビ止めを塗ってから、FRPの補強板を当てれば、問題なく使用することができますよ。
ただし浴室全体にサビが出ている場合は、ユニットバスの内部がサビて強度的に弱くなっていると考えられます。
サビを取って補強板を当てても強度が不安なので、ユニットバスの交換を検討した方が良いでしょう。
6.入浴後に基礎が濡れている
お風呂に入った後に、家の基礎部分に濡れた跡が見られたら要注意‼
ユニットバス自体や給水・排水管から水漏れが発生している可能性があります。
基礎が微妙に湿っているレベルなら結露の可能性もありますが、明らかに水が流れた跡があった場合は特に注意しましょう。
もし長い間放置していた場合は、家の木材が腐ってシロアリ被害に発展する恐れがあります。
早めに業者に連絡し、ユニットバスの修理や床下の基礎に問題が生じていないかを確認しましょう。
7.浴室換気扇の異音
浴室換気扇は、使用開始10年頃を目安に換気性能が悪くなり、異音も発生してきます。
ユニットバスの水漏れは、黒カビによるコーキングの劣化が原因で起こります。
黒カビや設備の劣化を防ぐためにも、浴室の換気はとても大切です。およそ10年ほど経ったら、浴室換気扇についても交換時期だと考えましょう。
浴室換気扇自体を丸ごと交換する場合の費用は、7~10万円ほどです。
モーターの破損など、異常が見られる部品のみ費用は3~4万円で、交換できるでしょう。
浴室換気扇は、ユニットバスの寿命を大きく伸ばす大事な設備です。
10年を目安に交換することをオススメします。
ユニットバスの劣化を防ぐ予防方法
ユニットバスの交換時期や症状を見てきましたが、費用も高いし、少しでも長く使いたいと思ってしまいますよね。
そこでユニットバスの寿命を長くする方法を紹介します。
1.換気
ユニットバスの寿命を大きく左右するのは、黒カビの存在です。
カビは湿気や水分があり、空気の流れがない場所で発生します。
カビの発生を抑えるためには、何よりもこまめな換気が重要!
換気することで、カビの発生を食い止めることができます。
浴室内の湿気をある程度排出するためには、最低でも3時間は換気が必要と言われていますね。
できれば夜の入浴後、朝まで換気扇を運転し続けることをお勧めします。
浴室のカビの発生を抑えるためには「入浴中よりも入浴後の換気が大切」と覚えておいてください。
2.毎日の掃除
ユニットバスのメンテナンスで最も簡単で確実なのが、毎日の掃除です。
浴室の掃除をどの程度しっかり行っているかは、人によって違いますよね。
毎日の掃除では、浴槽や床を簡単に流すだけという方もいれば、排水口やシャワーヘッドなどもこまめに掃除しているという方もいるでしょう。
掃除をどの程度しているかで、ユニットバスの寿命も大きく変わってきます。浴室の赤カビや石鹸カスをキレイに取り除いておけば、黒カビの発生を抑え、コーキングの劣化を防ぐことができるでしょう。
その結果が、ユニットバスの水漏れを防ぐことにも繋がってくるんですね。
時間が取れる週末だけしっかり洗うという方もいますが、ユニットバスの寿命を延ばすためにも、毎日の掃除を心掛けましょう。
洗剤やスポンジにも注意
研磨剤が含まれた洗剤を使用することも、傷や割れを促進させる原因の一つです。
クレンザー、みがき粉(粉末や研磨力の強いもの)は研磨剤が入っているので、キズの原因となり使用できません。
『酸性』や『アルカリ性』の表示のある洗剤、洗浄剤、漂白剤は表面が変色したり、シミになるおそれがあります。
表面に傷がつくので、
・硬いスポンジ
・金属たわし
・ナイロンたわし
・ネット付スポンジ
・不繊布付スポンジ
・アルミ付スポンジ
の使用はできません。
必ず柔らかい布かウレタンスポンジに、『中性』の表示のある浴槽用洗剤をつけて洗ってください。
3.シャンプーやせっけんは必ず流す
「シャンプーやせっけんの残り」や「洗い流した皮脂」はカビの成長を助ける栄養分です。
カビは①酸素があり②0〜45℃の温度③湿度が70%以上の場所で発生します。
浴室は、浴槽にお湯を溜める・シャワーを使うなど、温度も湿度もこの条件をクリアしているんですね。
お風呂場は、カビにとっては栄養がたくさんある繁殖場所です。
カビを防ぐためにも、お風呂から出る前に、浴室全体を50℃くらいのお湯で洗い流しましょう。
45℃以上の場所では繁殖することができないので、50℃くらいのお湯で洗い流せばカビを死滅させることができますよ。
4.入浴後はお湯を抜く
最後にお風呂に入った人は、浴槽の栓を抜いてください。
お風呂のお湯を抜くのは、浴室の水垢や変色を防止するにも効果絶大です。
特に入浴剤を使用している場合に溜め湯をしてしまうと、酷く変色してしまいます。
入浴後はお風呂の栓を抜いて、シャワーで軽く流すようにしましょう。
5.定期的にコーキングを交換する
定期的にコーキングの交換を行い、ひび割れからの水の侵入を防ぎましょう。
水の侵入を防ぐごとで、カビやシロアリが繁殖する環境を取り除くことができます。
カビを防ぐことができれば、ユニットバスの寿命を延ばせるでしょう。コーキングも劣化するので、10年前後でコーキングの打ち直しを検討しましょう。
コーキングは自分で行うこともできますが、トラブルを避けるためにも、プロに依頼するのがおすすめです。
業者に頼む場合の目安としては、2万円~4万円ほど見ておけばいいでしょう。
ユニットバス交換時期・症状まとめ
今回はユニットバスの交換時期の目安や症状について見てきました。
一般的にユニットバスの交換時期は、15~20年と言われています。
毎日の掃除や定期的なメンテナンスで、ユニットバスの交換時期をさらに伸ばすこともできるでしょう。
しかしユニットバスの不調は、水漏れに繋がり、家の木材を腐食してしまうおそれがあります。
15~20年ほどの間に、割れやひび、カビや臭いなどが気になり始めたら、早めにユニットバスを交換しましょう。
1.浴槽のひび・割れ
2.壁の剥がれ、亀裂
3.床の傷、ひび割れ
4.コーキングの割れ、カビの付着
5.サビの発生
6.入浴後に基礎が濡れている
7.浴室換気扇の異音
1.換気
2.毎日の掃除
3.シャンプーやせっけんは必ず流す
4.入浴後はお湯を抜く
5.定期的にコーキングを交換