リフォーム工事は新築工事とは違い、予測不可能なことが起こりやすくなっています。
そのため、追加工事による追加費用が出てしまうことも珍しくはありません。
たとえ優良そうなリフォーム会社でも、追加工事による追加費用発生トラブルが多く発生しています。
今回は、なぜ追加工事による費用請求が発生してしまうのか?どうしたら防げるのかを見ていきます。
追加工事が発生する原因8点
そもそもどうして追加工事が発生してしまうのでしょうか?
それぞれの原因を見ていきます。
1.解体しないと分からないから
リフォームには、解体してみないと中の状態が分からない場合があります。
見積もりの段階では、リフォーム会社の担当者にも、床下や壁の中の状態がよくわからないからです。
木造住宅の場合、材料や施工、あるいは湿気の状態にもよりますが、ある程度古くなると湿気にやられて、木材が腐ることがよくあります。
例えば、浴室やキッチンなどの水廻りは、水の影響で下地が腐食していることが少なくありません。
特に浴室の土台に被害が集中しています。
また、シロアリも木造住宅の大敵。
柱が食われて、ボロボロになっていることがよくあります。
そんな腐食した状態のまま重量物である、ユニットバスやキッチンを設置してしまうと、後々大問題になります。
水廻りの腐食による追加工事は、将来を考えて先延ばしすることは出来ません。
お金が掛かるからと、腐食していた部分を補修せずに工事を完了させてしまうと、近い将来に水漏れなどのトラブルが発生し、何倍にもお金が掛かってしまう結果に繋がります。
水廻りのリフォームでは、中を開けて見なければ分からなかったという事は、よくあることなのです。
2.リフォーム会社の説明不足
追加工事による追加費用トラブルの多くが、リフォーム会社の説明不足にあります。
・そもそも追加工事が発生する可能性など何も言われていなかった
・追加工事の可能性があるかもしれないと説明はあったが、ここまで高いとは聞いていない!
・説明されていない追加工事が、たくさんあり過ぎる!
など、リフォーム会社の説明不足による高額費用請求トラブルがとても多く発生しています。
リフォーム会社の説明不足によるトラブルを防ぐには、見積もり時に追加工事の可能性をしっかりと聞いておく必要があります。
またリフォーム前の相見積もりを取る時点で、各リフォーム会社ごとの追加工事が発生した場合に支払う金額を確認しておくことが重要です。
見積もり時に一番安いリフォーム会社に決めたのに、追加工事を入れたら総額で一番高くなってしまったといケースもあるからです。
追加工事を入れた金額で、最終的にどこの会社が一番安いのかと考えることが必要です。
3.追加・変更を職人に直接依頼した
在宅でのリフォーム工事の場合は、職人さんと毎日顔を合わせるので、リフォームの担当者よりも仲良くなる傾向にあります。
コミュニケーションをしっかり取ることは、リフォーム成功の秘訣ですので、積極的に深めることはとても良いことですね。
しかしリフォーム工事中、仲良くなった職人さんに「ついでにここに棚を作って欲しい」とちょっとしたお願いをすると、トラブルに発展してしまう事があります。
ちょっとした工事をお願いしたと思っている施主と、OKを出した職人さんの間に認識のズレが発生しているからです。
施主は「工事してるついでだから、これぐらい無料だろう」と考えて、お願いをします。
職人さんは「施主が欲しいと言ってるなら、何とか工夫して作ってあげたい!(※お金が掛かっても)」と努力します。
こうして、全てのリフォーム工事が終わって請求書が届いた時に『なんでこんなに高いの!』と驚くことになります。
工事が始まった時点で、ついでに頼む『棚や家具』は無料ではないということを理解しましょう。
材料費も掛かるし、すでに工事が進んでいる建物を変更するということは、修正というひと手間を加える必要があるからです。
どんなに小さな工事でも、見積書に載っていない追加工事をお願いする時は、トラブル防止のためにも、一度担当者に確認を取りましょう!
そして口頭ではなく、必ず文書で正式な追加見積もりを取ってください。
その見積書の内容や金額を確認した上で、追加工事をするかしないかを決めましょう。
そうすれば、後でお金が足りなくて困った、ということにはなりません。
4.リフォーム会社の見積もり漏れ
リフォーム会社によっては、見積もりに抜けのある担当者もいます。
本来しなければいいけない工事を入れていなかったり、お客様に頼まれた仕様変更をしていなかった、などのミスをします。
これらの場合はリフォーム会社のミスですから、追加工事には当てはまらず費用を払う必要はありません。
しかし中には、平気で何十万円もする見積もり漏れを請求してくるリフォーム会社もいます。
納得がいかないと思いますが、「こちらのミスは分かります!でも掛ったものは掛ったものとしてお支払い願います!」と強気に出る会社もいますので、気を付けなければいけません。
このような見積もり漏れを防止するためにも、相見積もりを取り、金額や工事内容を比較することが重要です。
他社に比べて見積もりの工事内容や項目が極端に少なく、工事金額が安い場合は要注意です!
後から足りなかった分を、追加費用で請求されるおそれがあります。
5.見積もりは安くして、追加工事で利益を取る
悪質なリフォーム業者は、追加工事ありきで受注しているところもあります。
他のリフォーム会社に負けないよう、見積もり金額を極端に下げ受注し、追加工事で利益を取ろうとします。
そのようなリフォーム会社は、見積書を見てもあまり分からなそうなお客さんを狙います。
リフォーム総額しか見ない事を知っていて、追加工事に掛かる費用を曖昧にします。
そして、水廻りの腐食など『やらなければいけない追加工事』が発生することも、当然知っています。
でも正直に伝えると、他のリフォーム会社にお客さんを取られてしまうので、言いません。
値段を伝えないまま工事を完了し、高額な追加費用を請求する悪質な会社もあるので、注意しなければなりません。
見積もりに『一式』ばかりの表記が多い場合は、追加工事を請求される可能性が高くなります。
また悪質なリフォーム会社の場合は、追加工事さえも割高に請求してくることを覚えて下さい。
なぜならリフォームを受注する時と違って競合がいないので、値引きする必要が無いと考えるからです。
こういう会社に当たらないためにも、相見積もりを取り、見積内容・金額を比較し、他社とあまりに違う場合は、その会社を避けた方が良いでしょう。
6.施工ミスを追加請求する
悪質なリフォーム会社の中には、自分たちの施工ミスで足りなくなった資材を、追加費用として請求してくる者もいます。
またリフォームする箇所が多い場合、各所で細かい追加費用が発生する事もあり、やってしまった施工ミスを、こっそりと追加費用に入れてくる事もあります。
たとえ追加工事による追加費用は発生しない、と言われても油断は禁物です。
なぜなら、追加が無いと言ってしまった手前、傷んだ所を補強や補修をせず、報告せずにそのまま仕上げてしまう会社もあるからです。
追加費用が無いと言われた場合は、予想外の工事が必要になった場合はどうするのか、隠さず報告してくれるのかを確認しておきましょう。
7.お互いの認識不足
これぐらいは言わなくても、相手は分かってくれるだろうという思い込みから、費用トラブルが発生してしまうことがあります。
床、壁、天井を一新するリフォームを行ったところ、元の腰壁部分がそのまま残してあり、コンセントも古いままだった。
コンセントも含め、全面新しくしてくれるものと思い込んでいたので、事業者に対応を求めると、工事のやり直しが必要で、多額の費用が追加になると言われた。
リフォームするに当たり、ここはやってくれるはずといった消費者の思い込みから、どこを工事するかという範囲があいまいになりがちです。
契約前に、請負契約書・図面・見積書などをよくチェックし、工事する場所、別途工事は何かについてリフォーム会社とよく確認しておきましょう。
8.無償だと思ったら請求された
内装をリフォ一ム中に、リフォーム事業者から「対面キッチンにカウンターがあるといいですね。」と言われ「そうですね」と答えたところ、後目、リフォーム会社から「やっておきました」と言われました。
代金については説明がなかったので、無償だと思っていたが、工事終了後、追加工事費用として20万円請求された。
無償でなければ、頼まなかったのにと後悔した。
工事中に現場で「このようにしたい」と話し合っているうちに、代金については何も話をしないまま工事が進んでしまう場合があります。
そして工事終了後、リフォーム会社から追加工事代金を請求され、トラブルになるケースが多くあります。
工事終了後に「言った」「言わない」の争いになるおそれがあるので、工事の追加・変更内容については、書面で残すようにしましょう。
また追加工事は見積もりを取らなけらば、行わないことをリフォーム会社に伝えておくことも必要です。
さらに無償のサービス工事として合意が成立した場合も、工事内容と無償である旨を書面で出してもらい、証拠として残すようにしておきましょう。
高額請求を防ぐ注文の仕方
前述したようなトラブルに遭わないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。
リフォームの追加工事やプランの変更で、高額請求が発生しないための注意点を解説します。
1.できる限り追加・変更工事を避ける
自分本位での追加工事の場合
失敗して後悔しないための原則は、とにかく自分本位による工事開始後の追加・変更工事を生じさせないようにすることです。
リフォーム会社の担当者から「工事が始まってからでも、追加工事は対応しますよ」と言われることもあります。
だからといって気軽にお願いしてしまうと、前述のようなトラブルが発生する結果になります。
変更工事そのものを避けることが大事だと認識しておいてください。
また追加で棚の作成や壁の変更をしたい場合は、追加工事に掛かる料金を見積もりとして書面で出してもらい、内容を確認した上で工事するかを決めましょう。
追加費用を出さないように業者に言ってはダメ!
追加工事や変更工事は避けるべきと述べましたが、そんな時でも絶対にやってはいけないことがあります。
それは、追加費用を出さないようにリフォーム会社に伝えてしまうことです!
これだけは絶対に辞めておきましょう。
お客さんからすると、追加の費用は無い方が当然いいと思います。
ですが、それを契約時に「工事中で追加費用を出さないように!」などと伝えるのは絶対に辞めましょう。
恐ろしいトラブルの原因になります!
実際にあった話しですが、追加費用を出さないように言われた担当者は、次のような行動を起こしました。
実際にあった話
ユニットバスの交換工事だったが、ユニットバスを解体したところで、下にあった水道管が著しく腐食していた。
強く触ったら折れてしまうような状態で、本来であれば配管を絶対に替えなくてはいけないほどだった。
ユニットバスの下に隠れてしまう場所なので、ユニットバスを取った時でないと直せない箇所であった。
しかし「今回の工事では追加の費用は一切発生しない」とお客さんと約束してしまった担当者は、面倒事を避けるために見なかったことにして、本来の工事のみを指示した。
この結果、約束通り追加の費用は発生しませんでした。
しかし、2~3年後にその部分から漏れて、結局お客さんとトラブルになったようです。
ユニットバス工事の時に一緒に追加工事としてやっていれば、2~3万円ほどの修理で済んだ工事が、結局水道管の修理をするのに30万円ほど掛かってしまいました。
リフォームというのは新築と違って、開けて見なければ分からず、契約時に見積もりを出せない場合もあります。
それなのに『追加工事を出さないように』と言ってしまうと、リフォーム会社としてはそのまま工事を進めてしまう場合もあるのです。
契約時にリフォームで追加費用を出さないように伝えるのではなく、追加費用は大体どれぐらい発生するかを聞いておき、必要な場合は工事をすると伝えておくことが大切です。
2.追加工事も見積書を書面で取る
工事が開始してから追加や変更したいことができた場合、必ず、その工事の見積りを書面で出してしてもらい、金額を確認してから発注するようにしましょう。
これによって、想定以上に高い請求を後からされることはなくなりますね。
また、見積り金額を口頭のみで確認することにも注意が必要です。
後から、聞いていた金額が本当かどうかを確認することもできません。
ですから書面で取ることが必要になってくるのです。
3.職人に直接頼まない
たとえ現場の職人さんが「ああ、それぐらいならサービスでいいよ」と言ってくれでも、必ずその旨をリフォーム会社の担当者に確認して下さい。
後で職人さんに「そんなことは言っていない」と言われたらそれまでです。
もし担当者が無償でいいと言っても、後でトラブルになるのを防ぐために、書面で見積書を出してもらいましょう。
後で何かあった場合に、正式な証拠になります。
書面で出すということはトラブルを防ぐことができ、リフォーム会社と依頼主の双方にとって有益な方法なのです。
大切なお金に関わることですから、これぐらい慎重にやっておきましょう。
4.追加や変更工事に対する設計者の意見を聞く
追加やプランの変更は、その箇所や周辺に影響を与えることもあるので、ちょっとしたことだからと思って自分で勝手に判断しないことが重要です。
細かなことでも、設計者に相談して追加や変更による悪影響が出ないか、工事費の金額がいくらになるかといったことを確認しながら、慎重に進めていくように注意しましょう。
リフォーム工事中に、追加や変更を希望すること自体が悪いと言うわけではありません。
ただ、変更・追加により当初の設計を変更することは、リスクが伴うことを理解して、その回避のために適切に進めていく必要があるということです。
5.追加工事の説明がない会社は避ける
良心的なリフォーム会社は追加費用を明確に見積もる
優良なリフォーム会社は、追加工事による費用発生を嫌います。
なぜなら、とても良い関係性でリフォームが進んでも、追加工事が原因で関係が悪化することを知っているからです。
ですので、できる限り追加工事が発生しない様な見積もりをし、追加費用が発生する可能性がある場合でも明確な料金を示します。
確かに解体しなければ分からない様な事例もあります。
しかし、良心的なリフォーム会社は過去の事例などから「10万円~12万円くらいの中で収まると思います」と概算でも示します。
逆にあまり説明がない会社は、施工経験が浅く追加工事で想定外の請求をされるか、もしくは追加工事での高額請求を狙った悪質な会社と考えて良いでしょう。
リフォーム会社を相見積もりで選ぶ際に、追加工事についてしっかり説明してくれる会社を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は、お風呂リフォームで高額請求が発生する原因と対策を見てきました。
いずれの場合も、お互いの認識不足や、見積もり時の内容確認不足が関係してトラブルが起こっていることが分かりました。
工事が始まってしまった後は、できるだけ追加注文を避けましょう。
また追加する場合は、見積もりを書面で取り、金額を確認してから工事をお願いするなどに気を付ければ、トラブルを防ぐことができます。
リフォーム会社を選ぶ時も相見積もりを取り、工事内容や金額を比較し、安すぎる会社を避けるようにして、納得できるリフォームをして下さいね。
①解体しないと分からないから
②リフォーム会社の説明不足
③追加・変更を職人に直接依頼した
④リフォーム会社の見積もり漏れ
⑤見積もりを安くして、追加工事で利益を取る
⑥施工ミスを追加請求する
⑦お互いの認識不足
⑧無償だと思ったら請求された
①できる限り追加・変更工事を避ける
②追加工事も見積書を書面で取る
③職人に直接頼まない
④追加や変更工事に対する設計者の意見を聞く
⑤追加工事の説明がない会社は避ける